東日本大震災で多くの被害をもたらした地盤の液状化による住宅被害は、1都8県で、約27,000棟に上がりました。
「液状化現象」によって建物は大きく不同沈下しますが、人命を奪うことは無く、不同沈下した建物は修復できます。しかしながら、その修復費用が300〜2,000万円と高額であったため、修復をあきらめた人、あるいは行政からの見舞金の範囲での簡易な修復が多かったようです。
いつ地震が発生するのか? その地震の規模は? その地震によって地盤がどれほど液状化するのか? その液状化によって建物はどれほど不同沈下するのか? その不同沈下の修復に必要な費用は?
上記の疑問に明確に答えられる現状ではない以上、本来の「地盤で液状化対策する」という方法とは別に、液状化の可能性が推定される地盤では、不同沈下の被害を想定したうえで修復が可能な仕組みを新築時にあらかじめ組み込んでおくという方法も一つの考え方です。
可動式のナットで長さの調整が可能な構造を有する「モードセルアンカーボルト」により、戸建住宅の傾いた土台をジャッキアップで水平に出来る仕組みを新築時にあらかじめ組み込めば、本来の基礎の強度を損なうことの無い復旧が可能になります。
液状化で不同沈下した戸建住宅の修復方法は、主に4種類ありますが、モードセルアンカーボルトは、東日本大震災の修復工事で最も多く実施されたと思われる「土台上げ工法」を、より効率的かつ容易に行えるように工夫したもので、金額的・構造的メリットがあります。 従来の「土台上げ工法」は、@アンカーボルト位置の全てのコンクリートを斫る Aアンカーボルトを切断 B基礎鉄筋を切断 という過程の中で、構造の安全性維持は全く考慮されていないという現状です。しかし、「不具合発生前とほぼ同等になるような処置」、「上部構造が切り離し可能な構造」を実現し、構造の安全性維持を可能にしたのがモードセルアンカーボルトです。
「モードセル工法」は、20cmの沈下まで対応でき、従来の「土台上げ工法」より100〜200万円ほど安価。床下からのみの作業のため、狭小地で隣地と空きが小さい場合でも施工が可能です。
基礎と土台を緊結するアンカーボルトを可動ナットにより長さを調整可能な機構とし、基礎に埋設されたアンカーパイプに全ネジボルトの余長を格納することで、アンカーボルトを切断することもなく土台を上げることができます。
ベタ基礎・布基礎の区別なく、RC造基礎で立ち上がり幅≧150mmに使用可能です。
換気スペーサー仕様(ねこ土台)のみ対応可能です。
土台は、105角・120角としてください。
床下は、施工スペースとして十分な空間(高さ350mm程度)以上必要です。
全ボルトネジの余長がパイプの中に格納されており、
全ネジボルトとパイプ可動ナットで連結された状態です。
作業は床下からのみ行いますので、隣地と近接している場合でも施工可能です。
換気スペーサーを取り、可動ナットを緩めます。
可動ナットと接続ナットの嵌合が外れると、ジャッキ等にて土台を持ち上げます。
所定の高さまで土台を持ち上げ後は、可動ナットを下してパイプを嵌合
させると、基礎・鉄筋・アンカーボルトの破壊・切断なく修復できます。
モードセルアンカーボルトは、一般財団法人ベターリング※において、強度・耐久性についての審査により、その品質を確認、証明されています。
評定番号:CBL MI001-14号
取得年月日:2015年3月3日
※一般財団法人ベターリング
国土交通大臣の指定期間として、確認申請・住宅性能評価等の審査業務を行うほか、住宅等の構・工法や部材・材料などを対象として、中立的な第三者の立場から建築基準法等の技術的基準への適合性の評価を、高度な専門的知識を有する学識経験者等の評価員によって実施します。